障害年金に税金はかからない|2026年度の金額と障害者控除27万〜75万円の併用

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障害年金には、所得税も住民税もかかりません。老齢年金が「雑所得」として課税されるのとは対照的に、障害年金は法律で非課税と定められた収入です。そして非課税であることは「税金を払わなくてよい」以上の意味を持ちます——家族の税の扶養に入りやすい、住民税非課税世帯になりやすい、国民健康保険料の計算に入らない。一方で「健康保険の扶養判定では収入に数える(180万円の壁)」「障害者控除は自動では付かない」といった落とし穴もあります。2026年度(令和8年度)の年金額、申請の3要件、働きながら受給する場合の注意まで、日本年金機構・国税庁の一次情報で整理します。

障害年金は非課税——老齢年金との違い

公的年金は名前が似ていても、税金の扱いがまったく違います。老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)は雑所得として所得税・住民税の課税対象ですが、障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)と遺族年金は非課税です。国民年金法・厚生年金保険法が「給付として受けた金銭には租税その他の公課を課すことができない」と定め、老齢年金だけを例外として課税対象にしています。

項目老齢年金障害年金
所得税課税(雑所得・公的年金等控除あり)非課税
住民税課税(同上)非課税
源泉徴収一定額を超えると天引きありなし(源泉徴収票も送付されない)
確定申告年金収入等の額によっては必要障害年金だけなら不要
税・社会保険の「所得」への算入算入される税の所得には算入されない(後述のとおり健康保険の扶養判定では収入に数える)

障害年金の受給者には毎年の源泉徴収票そのものが送られてきません。非課税所得だからです。障害年金以外に給与や事業の所得があれば、その部分については通常どおり年末調整や確定申告が必要ですが、障害年金の分を申告書に書く必要はありません。老齢年金側の課税の仕組みは年金にかかる税金と確定申告で詳しく解説しています。

「非課税」が生む3つの効果

障害年金が非課税であることは、税額ゼロにとどまらず、所得を基準とするさまざまな制度の判定に効いてきます。

効果1:家族の税の扶養に入りやすい

扶養控除や配偶者控除の対象になれるかは「合計所得金額48万円以下」で判定しますが、障害年金は非課税所得なので、この48万円には一切カウントされません。たとえば障害年金を年200万円受給していても、他に所得がなければ税法上の合計所得金額は0円。家族(親・配偶者・子など)の扶養親族として、扶養控除の対象になれます。さらに後述の障害者控除も家族側で使える場合があり、世帯の税負担を大きく下げられます。

効果2:住民税非課税(非課税世帯)になりやすい

障害年金だけで暮らしている人は、税法上の所得が0円なので本人は住民税非課税です。また、働いて給与があっても、障害者は前年の合計所得金額135万円以下(給与収入だけなら約204万円未満)まで住民税が非課税になる特例があります。世帯全員が住民税非課税なら「住民税非課税世帯」となり、高額療養費の限度額引き下げ・入院時の食事代減額・各種給付金の対象など、多くの支援につながります。判定の仕組みは住民税非課税世帯の条件を参照してください。

効果3:国民健康保険料が上がらない・国民年金保険料は法定免除

国民健康保険の保険料は前年の所得をもとに計算しますが、障害年金は所得に含まれないため、所得割はかからず、均等割の軽減判定でも不利になりません。介護保険料や後期高齢者医療の所得区分も同様に、非課税年金は基準となる所得に入りません。さらに障害基礎年金の1級・2級を受給している間は、国民年金保険料が「法定免除」となり、届け出れば納付が不要になります(国民年金の免除・猶予の仕組み)。

注意:健康保険の「扶養」判定では収入に数える(180万円の壁)

税金と違い、健康保険の被扶養者(家族の健康保険に入る)判定では、障害年金も収入としてカウントされます。基準は通常「年収130万円未満」ですが、障害年金の受給者など(障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者・60歳以上)は「年収180万円未満」に緩和されています。障害年金+パート収入の合計が180万円以上になると家族の健康保険の扶養から外れ、自分で国民健康保険等に入る必要が出てきます。詳しくは健康保険の扶養の条件へ。

注意:法定免除には「将来の老齢年金が減る」側面も

法定免除の期間は、老齢基礎年金の計算上「納付した場合の2分の1」として扱われます。障害の状態が軽くなって障害年金が止まった後のことを考えると、あえて納付を続ける(または後から追納する)選択肢もあります。免除=常に得、ではありません。

いくらもらえるか——2026年度(令和8年度)の年金額

2026年度の年金額は、障害基礎年金が前年度比プラス1.9%、障害厚生年金(報酬比例部分)がプラス2.0%の改定となりました。2026年4月分からの金額は次のとおりです(昭和31年4月2日以後生まれの場合)。

等級障害基礎年金(年額)障害厚生年金(年額)
1級1,059,125円(月あたり約88,260円)+子の加算報酬比例の年金額×1.25+配偶者加給243,800円
(障害基礎年金1級に上乗せ)
2級847,300円(月あたり約70,608円)+子の加算報酬比例の年金額+配偶者加給243,800円
(障害基礎年金2級に上乗せ)
3級なし(障害厚生年金のみ)報酬比例の年金額(最低保障635,500円
  • 子の加算:18歳年度末までの子(障害のある子は20歳未満)がいると、2人目まで1人につき243,800円、3人目以降は1人につき81,300円が障害基礎年金に加算されます。
  • 初診日にどの年金に入っていたかで受け取れる年金が決まります。国民年金(自営業・学生・無職など)なら障害基礎年金のみ、厚生年金(会社員・公務員)なら障害厚生年金+(1級・2級なら)障害基礎年金の2階建てです。
  • 3級より軽い障害でも、厚生年金加入中の初診なら一時金の障害手当金が受けられる場合があります。

申請の基本——3つの要件を順に確認する

障害年金は自動的には支給されません。請求(申請)して、次の3要件を満たすと受給できます。

  1. 初診日の要件——障害の原因となった病気・けがで初めて医師の診療を受けた日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入していること(20歳前や、60〜65歳で国内在住の未加入期間の初診日も対象)。初診日は請求の起点になるため、当時の受診記録(受診状況等証明書)で証明します。転院している場合は最初の医療機関の記録が必要です。
  2. 保険料納付要件——初診日の前日の時点で、初診日のある月の前々月までの加入期間のうち3分の2以上が保険料の納付済みまたは免除であること。これを満たさなくても、初診日が2036年(令和18年)3月末までなら「直近1年間に未納がない」ことで足りる特例があります(初診日に65歳未満の場合)。なお20歳前に初診日がある場合、納付要件は問われません。
  3. 障害状態の要件——障害認定日(原則、初診日から1年6か月を経過した日)に、法令の障害等級(1級・2級、厚生年金は3級まで)に該当していること。認定日に該当しなくても、その後悪化した場合は65歳になるまで請求できます(事後重症請求)。

請求手続きは年金事務所(障害基礎年金のみの場合は市区町村の窓口でも可)で行います。診断書・病歴や就労状況の申立書など書類が多く、初診日の証明で行き詰まるケースも少なくありません。うつ病や糖尿病の合併症、がんなど内部疾患・精神疾患も対象になり得ることは意外に知られていません。会社員が病気で働けなくなった場合は、まず健康保険の傷病手当金(最長1年6か月)でつなぎ、障害認定日を迎えたら障害年金を検討する、という流れが典型です。ただし同じ病気・けがで障害厚生年金を受けられるときは、傷病手当金は原則支給されません(年金の日額が低い場合は差額のみ支給)。

障害者控除は「年金と別に」使える

障害年金の非課税とは別枠で、本人や家族の税金を軽くするのが障害者控除です。納税者本人が障害者であるとき、または同一生計配偶者・扶養親族が障害者であるときに、所得から次の額を差し引けます。

区分所得税住民税
障害者27万円26万円
特別障害者(重度:身体1・2級、精神1級など)40万円30万円
同居特別障害者(同居の家族が特別障害者)75万円53万円

ポイントは2つあります。第1に、障害年金を受給しながら、働いて得た給与にこの控除を適用できること。第2に、障害年金は扶養判定の所得に入らないため、家族の側が「扶養控除+(同居特別)障害者控除」をまとめて使えるケースが多いことです。年末調整の扶養控除等申告書に記入するか、確定申告で適用します。

注意:障害年金の受給=障害者控除の対象、ではない

障害者控除の対象は、身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳の交付を受けている人や、市町村長等の認定を受けた人など、税法で定められた範囲です。障害年金の等級と手帳の等級は別の制度で、障害年金2級でも手帳を持っていなければ控除を受けられない場合があります。逆に、手帳があれば障害年金を受けていなくても控除は使えます。要介護認定を受けた高齢の親が、市町村の「障害者控除対象者認定書」で対象になるケースもあります。

働きながら受給する場合の注意

  • 通常の障害年金に所得制限はありません。保険料の納付実績にもとづく年金なので、働いて収入が増えても、それだけで支給停止にはなりません。
  • 例外は20歳前の傷病による障害基礎年金(保険料を納める前の障害のため、本人の保険料負担がない)です。こちらは所得制限があり、2026年4月時点では前年所得が4,794,000円を超えると全額3,761,000円を超えると2分の1が支給停止になります(扶養親族1人につき基準額に38万円などを加算。停止は10月分から翌年9月分まで)。
  • 障害年金は多くの場合有期認定で、1〜5年ごとに診断書(障害状態確認届)を提出して更新します。就労の状況は精神障害などの等級判定で考慮される要素の一つですが、「働いたら即打ち切り」ではなく、あくまで障害の状態で判定されます。
  • 障害の状態が軽くなれば支給停止・級落ちがあり得ます。逆に悪化したときは額改定請求ができます。

今日やること

  1. 本人または家族が障害年金を受けているなら、確定申告や年末調整で障害年金を所得に含めていないか、扶養控除・障害者控除を取り漏らしていないかを確認する(過去分は5年まで還付請求可)
  2. 病気やけがで長期間働けていない人は、初診日がいつ・どの年金加入中だったかをメモし、ねんきんネットか年金事務所で保険料の納付状況を確認する
  3. 家族の健康保険の扶養に入っている受給者は、障害年金+給与の年間見込みが180万円未満かを計算しておく

よくある質問

Q. 障害年金だけが収入の場合、確定申告は必要ですか?

A. 不要です。障害年金は非課税所得で、税法上の所得は0円として扱われ、源泉徴収票も送付されません。給与や事業所得など他の収入があれば、その部分については通常どおり年末調整・確定申告が必要ですが、障害年金の額を申告書に記載する必要はありません。

Q. 障害年金をもらうと家族の扶養から外れますか?

A. 税金の扶養(扶養控除・配偶者控除)は外れにくいです。障害年金は合計所得金額に入らないため、他に所得がなければ所得0円のままです。一方、健康保険の被扶養者判定では障害年金も収入に数え、基準は年収180万円未満(障害年金受給者等の場合)です。年金と給与の合計が180万円以上になると健康保険の扶養から外れます。

Q. 障害年金を受けていれば、障害者控除も自動的に受けられますか?

A. 自動ではありません。障害者控除(所得税27万円・特別障害者40万円・同居特別障害者75万円)の対象は障害者手帳の交付を受けた人などで、障害年金の等級とは別の制度です。年金2級でも手帳がなければ対象外の場合があり、年末調整または確定申告で自分から申告して初めて適用されます。

Q. 働いて収入が増えると障害年金は止まりますか?

A. 通常の障害年金に所得制限はなく、収入が増えたこと自体で止まることはありません。所得制限があるのは20歳前の傷病による障害基礎年金だけで、前年所得4,794,000円超で全額、3,761,000円超で半額が停止されます(2026年4月時点・扶養親族による加算あり)。なお更新時には障害の状態そのもので等級が見直されます。

参考リンク(出典)

※ 数値は2026年8月時点の公表資料にもとづきます。年金額は毎年度改定され、健康保険の扶養基準は加入先の健康保険組合により運用が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の受給可否・税務の判断は年金事務所・税務署・社会保険労務士・税理士等にご確認ください。

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公開日:2026年08月11日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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