ベビーシッター代が控除に?令和9年度税制改正要望の家計に効く項目

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最終更新:2026年9月1日/本記事は各府省庁が2026年8月末に公表した令和9年度税制改正要望の資料(金融庁・厚生労働省・国土交通省)をもとに作成しています。ここで扱うのはすべて「要望」であり、決定した制度ではありません。採否は12月の与党税制改正大綱で決まります。

先に結論から。2026年8月末、各府省庁が令和9年度の税制改正要望を出しました。家計に関係するものでいちばん新しいのは、ベビーシッターや家事支援サービスの費用に税制上の措置を求める要望です。厚生労働省が経済産業省・こども家庭庁と共同で出した新規要望で、所得税と個人住民税が対象。実現すれば、共働き世帯が払っているシッター代や家事代行の費用が税の計算に反映される可能性があります。この記事では、省庁をまたいで「家計に効く要望」だけを拾って整理します。

8月末に何が起きたのか

8月末各府省庁が要望を提出する期限
令和9年度対象となる改正年度(2027年度)
12月与党税制改正大綱で採否が決まる
新規要望ベビーシッター費用の税制措置の位置づけ

毎年8月末、各府省庁は翌年度の税制改正の要望を財務省・総務省へ提出します。令和9年度分は、国土交通省が8月28日、金融庁と厚生労働省が8月31日に公表しました。

ここで押さえておきたいのは、各省庁の要望はほぼすべてが減税・非課税枠の拡大・期限の延長だということです。省庁は所管する分野を後押しする立場だからです。したがって8月末の要望リストを全部読んでも、来年どんな増税が来るかは分かりません。この構造については税制改正要望の読み方で詳しく整理しています。

いちばん新しい動き:ベビーシッター代・家事代行の税制措置

新規要望厚生労働省が経済産業省・こども家庭庁と共同で出した要望です。要望事項はこう書かれています。

子育てや介護等による離職やキャリアへの影響を防止し、多様な人材が能力を発揮できる環境整備を図ることによって仕事と子育て・介護等の両立に資するため、家事支援サービスやベビーシッターを含む認可外保育施設の利用に要する費用について、税制上の所要の措置を講ずる

厚生労働省「令和9年度 主な税制改正要望」より。対象となる税目は所得税・個人住民税。

注目すべき点が3つあります。

1つめは「新規要望」であること。延長や拡充ではなく、いまは無い措置を作ってほしいという要望です。既存制度の期限延長より通りにくい一方、通れば影響は大きくなります。

2つめは対象が広いこと。ベビーシッターだけでなく家事支援サービス認可外保育施設が並記されています。共働き世帯が実際に払っている費用の範囲に近い書き方です。

3つめは3省庁の共同要望であること。厚労省・経産省・こども家庭庁が並んでいます。共同要望は所管をまたぐぶん調整が要りますが、政策的な後押しが厚いことの表れでもあります。

ただし「どういう形の措置か」はまだ書かれていません。所得控除なのか税額控除なのか、上限がいくらなのか、対象となるサービスの線引きをどうするのかは、要望段階では決まっていません。「シッター代が全額戻る」といった読み方は早すぎます。決まるのは12月の大綱以降です。

厚生労働省のその他の要望

要望項目区分税目
医療提供体制の確保に資する設備の特別償却制度の延長等拡充・延長所得税・法人税
中小企業退職金共済制度及び勤労者財産形成促進制度の見直しに伴う税制上の所要の措置新規・拡充所得税・法人税・相続税・個人住民税ほか
家事支援サービスやベビーシッター等の利用に要する費用に係る税制上の所要の措置新規所得税・個人住民税
生活衛生同業組合等が設置する共同利用施設に係る特別償却制度の適用期限の延長等延長法人税
交際費課税の特例措置の延長等拡充・延長法人税・法人住民税・事業税

会社員の家計に近いのは中小企業退職金共済(中退共)と財形貯蓄の見直しです。制度のあり方を労働政策審議会で検討し、その結果を踏まえて税制上の措置を講ずる、という書き方になっています。中退共は中小企業の従業員の退職金を支える仕組み、財形は給与天引きで貯める仕組みで、どちらも税制優遇とセットの制度です。検討結果しだいで扱いが変わりうるため、加入している人は年末の動きを見ておく価値があります。

個人事業主・法人経営者に関係するのが交際費課税の特例です。物価高騰を踏まえ、交際費等から除かれ損金算入できる飲食費の金額基準(1人あたり10,000円以下)と、①飲食費の50%を損金算入 ②交際費等を800万円まで全額損金算入という特例について、適用要件を見直したうえで期限を延長するよう求めています。

国土交通省:住宅と不動産の要望

国土交通省の要望は8月28日公表です。「豊かな暮らしの実現」の柱に、住まいに関する項目が並んでいます。

要望項目
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等に係る所要の措置
住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置の拡充等(登録免許税)
空き家の発生を抑制するための特例措置の拡充・延長
買取再販で扱われる住宅の取得等に係る特例措置の拡充・延長
大規模の修繕等が行われたマンションに係る税額の減額措置の拡充・延長
新築マンションの価格高騰への対応に係る所要の措置
土地に係る固定資産税の負担調整措置及び条例減額制度の延長
工事請負契約書及び不動産譲渡契約書に係る印紙税の特例措置の延長
自動車関係諸税の課税のあり方の検討(自動車重量税・自動車税等)

国土交通省「令和9年度税制改正要望事項」の主要項目より抜粋。項目名は資料の表記に合わせています。

住宅ローン控除が入っていないのは、すでに手当て済みだからです。住宅ローン控除は令和8年度税制改正で適用期限が5年延長されており、今回あらためて要望する必要がありません。「要望リストに無い=廃止される」ではない、という典型例です。

目を引くのは新築マンションの価格高騰への対応という項目名です。ただし要望段階では項目が挙がっているだけで、具体的な中身は資料の該当ページで示されます。「マンションが安くなる」といった話ではない点に注意してください。

相続に関係するのは空き家の特例です。相続した空き家を売ったときの譲渡所得の特別控除で、この拡充・延長が要望されています。実家をどうするか考えている世帯には関係があります。

金融庁:NISAと生命保険料控除

金融庁の要望も同じ8月31日に出ています。家計に効くのはNISAの非課税保有限度額を売却した年のうちに復活させること、23歳未満の子がいる世帯の生命保険料控除2万円上乗せの恒久化デリバティブ取引・預貯金への損益通算の拡大の3つです。

あわせて「その他の要望項目」に、死亡保険金の相続税非課税限度額の引き上げや、結婚・子育て資金一括贈与の非課税措置の廃止が入っています。中身は金融庁の令和9年度税制改正要望で詳しく整理しました。

家計から見た「効きそうな順」

要望対象になりやすい世帯省庁
ベビーシッター・家事支援サービス費用の税制措置共働きの子育て世帯・介護と両立している世帯厚労省・経産省・こども家庭庁
生命保険料控除2万円上乗せの恒久化23歳未満の子がいる世帯金融庁ほか
NISA枠の当年中復活NISAで売買する人金融庁
死亡保険金の相続税非課税限度額の引き上げ生命保険を相続対策に使う世帯金融庁
空き家の特例の拡充・延長実家を相続する世帯国交省
結婚・子育て資金一括贈与の廃止祖父母からの援助を予定している世帯こども家庭庁

最後の1つだけ方向が逆です。廃止=これから使えなくなるという要望なので、利用を考えている場合は期限(2027年3月31日)を前提に判断する必要があります。詳しくは結婚・子育て資金の一括贈与はなぜ廃止の方向なのかへ。

今日やること

  1. シッター代・家事代行の領収書を保管しておく。措置の形は未定ですが、仮に控除ができれば支払いの記録が必要になります。捨てないでおくだけならコストはゼロです。
  2. 12月の与党税制改正大綱の時期をカレンダーに入れる。ここまでは全部「要望」です。採否はこの1回で決まります。
  3. 中退共・財形に加入している人は、年末の見直し議論を確認する。労働政策審議会での検討結果を踏まえて税制措置を講ずるとされています。

よくある質問

ベビーシッター代は来年から控除できるようになりますか。

決まっていません。厚生労働省が経済産業省・こども家庭庁と共同で出した新規要望の段階です。所得控除なのか税額控除なのか、上限額、対象となるサービスの範囲はいずれも要望段階では示されていません。採否は2026年12月の与党税制改正大綱で決まり、実施はその後の法改正を経てからです。

対象はベビーシッターだけですか。

要望の文言では「家事支援サービスやベビーシッターを含む認可外保育施設の利用に要する費用」となっており、家事支援サービスと認可外保育施設も並記されています。ただし実際にどこまでが対象になるかは、制度化される段階で決まります。

住宅ローン控除は要望に入っていませんが、なくなるのですか。

なくなりません。住宅ローン控除は令和8年度税制改正で適用期限が5年延長されており、今回あらためて要望する必要がないため入っていないだけです。要望リストに無いことは廃止を意味しません。

要望を見れば来年の増税が分かりますか。

分かりません。各府省庁は所管分野を後押しする立場なので、要望の中身はほぼすべてが減税・非課税枠の拡大・期限の延長です。増税は財源を確保する側の論理で決まり、12月の大綱で初めて表に出てきます。9月からの報道が明るい話ばかりに見えるのは、材料自体が減税要望しかないからです。

各省庁の要望はどこで読めますか。

各省庁のウェブサイトで公表されています。金融庁は8月31日、厚生労働省は8月31日、国土交通省は8月28日に公表しました。財務省が全府省庁分をまとめた一覧も例年公開されます。本記事末尾の参考リンクから各省庁の資料に直接アクセスできます。

参考リンク(出典)

本記事は公表された税制改正要望を整理したもので、決定した制度の解説ではありません。要望の採否は与党税制改正大綱および法改正で決まります。個別の税務判断については税務署・税理士等の専門家にご確認ください。

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公開日:2026年09月01日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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