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- 2026年8月5日の閣議決定「給付付き税額控除の制度導入の基本方針」を反映(制度名「所得に連動したきめ細かな給付」・令和11年度本格導入・つなぎの飲食料品消費税1%と先行給付・給付額と閾値は未定であることを明記)。独立ツール「給付付き税額控除シミュレーター」へのリンクを追加。
「減税しても、税金を払っていない人には届かない」——この問題を解決するのが給付付き税額控除です。減税で引ききれない分を現金給付で補う仕組みで、いま政府・与野党の協議体で制度設計が進んでいます。2026年8月5日、政府は制度導入の基本方針を閣議決定しました。新制度の名前は「所得に連動したきめ細かな給付」で、本格導入は令和11年度(2029年度)。それまでの2年間は飲食料品の消費税1%と先行給付でつなぎます。この記事では、仕組みと決まったこと・決まっていないことを整理したうえで、年収別に「いくらもらえるか・損する人はいるか」をその場でシミュレーションできるようにしました。
・新制度の名前は「所得に連動したきめ細かな給付」。個人単位で、単身者・個人事業主・フリーランス、就労している中低所得の高齢者も対象
・本格導入は令和11年度(2029年度)。それまでの2年間は、令和9年(2027年)4月1日から2年間、飲食料品の消費税率を1%に引き下げ、あわせて先行給付を令和9年度に導入(両方で飲食料品の消費税を「実質ゼロ化」する)
・給付額と、給付が減りはじめる所得の水準は決まっていません。国会審議では1人4万円前後の案も示されましたが、正式には未確定で、恒久財源の確保とあわせて検討されます
給付付き税額控除とは|「減税+給付」のハイブリッド
従来の減税(税額控除)は、納めている税金より多くは引けません。たとえば10万円の減税をしても、所得税を3万円しか納めていない人の恩恵は3万円止まり。所得税がゼロの人(年収が低い人・年金生活者など)には1円も届きません。
給付付き税額控除は、この「引ききれない分」を現金で給付します。10万円の税額控除なら、税額3万円の人は「3万円の減税+7万円の給付」、税額ゼロの人は「10万円の給付」。所得の少ない人ほど恩恵が薄い、という従来の減税の弱点を裏返した制度です。
| 本来の税額 | 従来の減税(10万円) | 給付付き税額控除(10万円) |
|---|---|---|
| 15万円の人 | ▲10万円(満額) | ▲10万円(減税のみ・同じ) |
| 3万円の人 | ▲3万円まで | 減税3万円+給付7万円 |
| 0円の人 | 恩恵なし | 給付10万円 |
2024年に実施された定額減税(1人4万円)で「引ききれない人」に調整給付を配った仕組みは、実質的にこの考え方の先行例です。海外では米国のEITC(勤労所得税額控除)、カナダのGSTクレジットなどが有名で、働くほど給付が増える設計にして勤労意欲を高める使い方が主流です。
決まったこと・決まっていないこと(2026年8月5日 閣議決定)
| 項目 | 閣議決定の内容 |
|---|---|
| 制度名 | 「所得に連動したきめ細かな給付」。一律の給付とは違い、毎年度継続的に行う新しい制度だと分かるよう名称を工夫するとされた |
| 単位・対象 | 個人単位・単身者も対象。事業所得・給与所得に加え業務に係る雑所得も勤労性の所得に含め、個人事業主・フリーランスも対象。就労し純負担が現役並みの中低所得の高齢者も対象 |
| 給付の形 | 勤労性の所得が一定水準に達するまで逓増→その後定額→総所得が一定額を超えると逓減・消失。非課税ライン以下は誤支給を避けるため定額 |
| 加算 | 「年収の壁」への一定の加算(壁が解消するまでの時限措置)+18歳以下のこどもの人数に応じた加算 |
| 時期 | 令和11年度(2029年度)に本格導入 |
| つなぎ(2年間) | 令和9年4月1日から2年間、飲食料品の消費税率を1%に引下げ+令和9年度に先行給付。合わせて飲食料品の消費税を実質ゼロ化。つなぎでは配偶者所得の例外を置かず、こども加算は15歳以下 |
| 給付額 | 未定。純負担率の国際比較などを参照しながら、恒久財源の確保とあわせて検討 |
| 給付が消える所得 | 未定。中間とりまとめは「諸外国では概ね平均年収の50%前後」と記載 |
| 財源 | 特例公債に頼らず、補助金・租税特別措置の見直しなど歳出・歳入のあらゆる見直しで恒久財源を確保 |
出典:[内閣官房 基本方針]/社会保障国民会議「中間とりまとめ」(2026年7月29日)。給付カーブの形は給付付き税額控除シミュレーターでグラフとして確認できます。
モデル②で「損する人」が出るのはなぜか
給付のみの案(モデル①)は、もらえる人にはプラス、対象外の人はゼロで、直接マイナスになる人はいません。ただし年5兆円規模の財源をどこかから調達する必要があり、「誰かの負担」を決めないまま給付だけが先行するのが現在の協議の弱点だと指摘されています。
そこで参考になるのが、モデル②のような財政中立型の設計です。全員に効いている基礎控除(所得税58万円・住民税43万円)を廃止して一律の給付付き税額控除に置き換えると、控除の恩恵が大きかった高所得層は負担増、恩恵が小さかった低所得層は受け取り超過になります。所得控除は税率の高い人ほど得をする仕組みなので、それを「全員同額」に変えることが、そのまま所得再分配になるわけです。
1人10万円の置き換え試算では、年収550万円前後で損得が入れ替わります。収入がごく少ない人は+10万円、年収100万円で約+7万円、年収300万円で約+3万円、年収800万円で約−6万円、年収2,000万円では約−14万円。「どこを分岐点にするか」は給付額の設定次第で動かせます。
実現までの論点
- 所得をどう正確に把握するか:給付の逓減には所得情報が必要です。前年の所得を使うと「いま困っている人」に遅れて届き、マイナンバーによる迅速な所得捕捉が前提になります。
- 財源:民間試算で年5兆円規模。国債か、他の控除・給付の整理か、増税かの議論は事実上これからです。
- 既存制度との重複:住民税非課税世帯向け給付・児童手当・年収の壁対策と役割が重なるため、制度の整理が必要です。
- 勤労インセンティブ:米国EITCのように「働くほど増える」設計にするか、単純な所得連動給付にするかで、働き方への影響が変わります。
年収の壁との関係は106万円と130万円の壁、いまの非課税世帯向け支援は住民税非課税世帯の条件で解説しています。税金が集まる側・使われる側の全体像は税収データもどうぞ。
よくある質問
給付付き税額控除はいつから始まりますか?
2026年8月5日の閣議決定で、本格導入は令和11年度(2029年度)と決まりました。それまでのつなぎとして、令和9年(2027年)4月1日から2年間、飲食料品の消費税率を1%に引き下げ、あわせて先行給付を令和9年度に導入します。実際の開始には法制上の措置が必要です。
いくらもらえる見込みですか?
2026年8月5日の閣議決定でも金額は決まっていません。国会審議では1人4万円前後の案が示されましたが、正式な給付額は純負担率の国際比較などを参照しながら恒久財源の確保とあわせて検討するとされています。設計は「勤労性の所得が一定水準まで逓増→定額→総所得に応じて逓減・消失」で、どの年収から減るかも未定です。
定額減税と何が違うのですか?
2024年の定額減税は税金から引く方式が基本で、引ききれない人には別途調整給付を配りました。給付付き税額控除は、この「減税と給付の一体化」を恒久的な制度にするもので、税金を納めていない人にも最初から同じ額が届く点が違います。
損する人はいますか?
協議中の「給付のみ」案では直接損する人はいませんが、年5兆円規模の財源の負担者は未定です。仮に基礎控除の置き換えのような財政中立型で設計すると、試算では年収550万円前後を境に高所得層は負担増(年収2,000万円で年約14万円)になります。
年金生活者や専業主婦(主夫)ももらえますか?
閣議決定は、就労していて、税・社会保険料の負担から年金受取額を差し引いた純負担が現役並みである中低所得の高齢者も対象とすると明記しました。一方、就労していない年金受給者や、給付の対象外で支援が必要な方への対応は、生活困窮者自立支援制度など既存制度との関係を整理したうえで本格導入までに結論を出すとされています。
出典:内閣官房 給付付き税額控除等に関する国民会議(配布資料)/日本経済新聞「給付付き税額控除、政府・与野党が国民会議 26年中に設計めざす」ほか各種報道(2026年7月時点)。本記事のシミュレーションは制度確定前の試算モデルであり、実際の制度内容・金額とは異なります。個別の税務のご判断は税務署・税理士にご確認ください。



