2026年は自宅のEV充電環境に補助金を使える「当たり年」です。国の充電インフラ補助金では、これまで対象外だった戸建て住宅の充電用コンセント設置に定額5万円の補助が新設され、V2H(EVと家をつなぐ充放電設備)は機器と工事あわせて最大130万円。東京都は独自にV2H最大100万円を上乗せできます。ただし国のV2H補助は先着順で、2026年8月4日時点の予算残高は約25億円(配分約55億円の半分弱)と公表済み。締切の9月30日を待たずに終わる可能性があります。金額・受付状況・申請の順序(交付決定前の着工は対象外)まで、2026年8月時点の一次情報で整理します。
全体像:国+自治体で「充電コンセント」「V2H」に使える補助金
自宅のEV充電まわりの補助金は、大きく「国」と「自治体」の二階建てです。国の制度は経済産業省の令和7年度補正予算「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金」(総額510億円)で、申請窓口は一般社団法人次世代自動車振興センターです。
| 制度 | 補助額 | 受付期間(2026年) |
|---|---|---|
| 国:戸建て住宅の充電用コンセント | 定額5万円 | 3月31日〜9月30日(先着順) |
| 国:V2H充放電設備 | 機器1/2(上限75万円)+工事上限55万円=最大130万円 | 7月17日〜9月30日(先着順・予算残約25億円) |
| 東京都:V2H | 太陽光+EV保有で全額・上限100万円(一方のみは1/2・上限50万円) | 2027年3月31日まで受付中 |
| 市区町村の例 | さいたま市10万円・千葉市最大25万円・名古屋市5万円 など | 自治体ごとに異なる |
国どうしの補助金は重複できませんが、国+自治体の併用は認められている場合が多く、東京都のように国の補助を前提に上乗せする設計の自治体もあります。EV本体の補助金(CEV補助金)とは別枠なので、車と設備の両方で申請できます。車側の制度は47都道府県のEV補助金まとめをどうぞ。
国の充電インフラ補助金①:戸建てのコンセント設置に定額5万円(新設)
令和7年度補正予算の最大の変更点が、戸建て住宅の新規対象化です。これまで国の充電インフラ補助は集合住宅や事業所などが対象で、個人の戸建ては対象外でしたが、「自宅に充電設備がないことでEV購入を断念する声がある」ことを踏まえ、コンセント型充電器の設置に定額5万円(予算15億円)が新設されました。
- 対象:センターが承認した型式の充電用コンセント(新品)を、戸建て住宅の駐車スペースに1基設置する工事。機器代+工事費の合計が5万円を下回る場合はその実額
- 受付:2026年3月31日17時〜9月30日17時。先着順で、予算に達する見込みになれば期間中でも受付終了
- 手順の要注意点:オンラインで交付申請し、交付決定(受付から1〜2か月程度)の後でなければ発注・着工できません。工事完了・支払後に実績報告(期限2027年1月29日)を出して振込。設置完了から5年間の保有義務あり
200Vコンセントの設置工事は数万円〜十数万円程度に収まる例が多いとされ、定額5万円でも自己負担をかなり圧縮できます。なお集合住宅(マンション共用部など)向けには別区分があり、ケーブル付き普通充電器で機器上限25万〜35万円+工事費上限95万〜135万円、従来あった「20口まで」の設置上限も撤廃されました。こちらは管理組合等が申請する制度で、居住者個人が自室の駐車区画に単独申請するものではありません。
国の充電インフラ補助金②:V2Hは最大130万円・予算残高は約25億円
V2H充放電設備(EVに充電し、EVから家へ給電もできる機器)への国の補助は、過去に「受付開始から数日で予算切れ」が起きたこともある人気枠です。2026年は令和7年度補正予算で約55億円が配分され、7月17日から受付中です。終了はしていません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 機器購入費 | 1/2補助(型式ごとの上限75万円) |
| 設置工事費 | 定額・上限55万円 |
| 合計 | 最大130万円(個人宅) |
| 主な要件 | EV・PHEV・燃料電池車を保有または発注済み(実績報告までに車検証を提出)/設置は1基/申請者の住所と設置場所が一致 |
| 受付期間 | 2026年7月17日〜9月30日17時・先着順 |
| 保有義務 | 5年間(処分には事前承認が必要) |
予算残高に注意(2026年8月4日公表)
次世代自動車振興センターは8月4日、V2H充放電設備・外部給電器の予算残額が約25億円(配分約55億円)になったと公表しました。申請額の累計が予算に達した場合、締切の9月30日を待たずに受付終了となり、到達日以降に届いた申請は無効になります。導入を決めているなら、見積りと書類の準備を前倒しするのが確実です。
なお、以前あった環境省系のV2H補助(蓄電池とのセット等)や国のDR家庭用蓄電池補助は年度・予算ごとに姿を変えており、2026年8月時点で個人が使える国のV2H補助は、実質この充電インフラ補助金の枠に一本化されています。
東京都:V2Hに最大100万円・充電設備も独自支援
東京都(窓口はクール・ネット東京)の令和8年度V2H補助は、全国でも突出した手厚さです。
| 条件 | 補助率 | 上限 |
|---|---|---|
| 太陽光発電とEV・PHEVの両方がある | 機器・工事費の全額(10/10) | 100万円 |
| どちらか一方のみ | 1/2 | 50万円 |
- 受付は事前申込が2026年5月29日開始、交付申請兼実績報告は2027年3月31日17時まで(予算到達で早期終了の可能性あり)
- 国の補助金と併用可能。都の助成額は対象経費から国の補助額を差し引いて算定するため、「国130万円+都」で自己負担が大きく下がります
- 都は手続きの順序が国と逆で、先に「事前申込」を済ませてから契約・設置する流れです。順序の詳細は最新の募集要項で必ず確認してください
太陽光・蓄電池もあわせて入れる場合の金額感と課税の注意点は、東京都の太陽光・蓄電池・V2H補助金ガイドで詳しく解説しています。EV本体側の都の補助は東京都EV補助金ガイドをどうぞ。
その他の自治体の例:5万〜25万円の上乗せ
市区町村レベルでも、国と併用できるV2H・充電設備の補助が広がっています。金額は数万円〜数十万円と幅がありますが、「国+市」で工事費の持ち出しをさらに減らせます。
| 自治体 | 内容(2026年度) |
|---|---|
| さいたま市 | V2H充放電機器に上限10万円。受付は2026年6月1日〜2027年3月19日(予算到達で終了)。国の補助対象として登録された機器が条件で、国と併用可。詳細は埼玉県のEV補助金まとめへ |
| 千葉市 | V2H単体で最大25万円を先着順で補助。千葉県のEV補助金まとめで市町村の制度を整理しています |
| 名古屋市 | 住宅等の脱炭素化促進補助でV2H1件5万円(太陽光発電との連系が条件)。同じ制度の蓄電システム枠は予算到達で受付終了済みで、市区町村の予算は小さく枯渇が早い典型例です |
お住まいの自治体の制度は、自治体名+「V2H 補助」で公式サイトを確認するか、補助金データベースから探せます。
工事費と電気代:V2Hは「元が取れるか」より「何に使うか」
V2Hは補助金が大きい一方、導入費用も大きい設備です。本体価格は40万〜130万円程度、設置工事費は30万〜50万円程度が目安とされ、合計100万〜180万円前後の見積りになる例が少なくありません。国の最大130万円+自治体の上乗せが効けば自己負担は数十万円まで下がりますが、それでも「電気代の節約だけで早期に回収」は容易ではない点は正直に押さえておくべきです。
- 充電コストの目安:自宅の200V充電なら電気料金の目安単価31円/kWh・電費6km/kWhとして1kmあたり約5円。夜間が安い料金プランならさらに下がり、ガソリン車の燃料費のおおむね半分程度になる例が多いとされます
- V2Hの節約効果:EVの電池(40〜60kWh級)は家庭用蓄電池(5〜15kWh)より大容量で、太陽光の余剰電力を昼にEVへ貯め、夜に家で使う運用ができます。ただし充放電の往復で1〜2割程度の変換ロスがあるとされ、EVが昼間自宅にないと太陽光を貯められません
- 停電・災害への備え:満充電のEVから数日分の家庭電力を賄える点は、金額に換算しにくいものの大きな価値です
V2Hが向く人
- 戸建てで太陽光発電がある(または同時導入する)
- 在宅勤務などで平日の昼間もEVが自宅にあることが多い
- 停電・災害時の電源確保を重視する
- 国+自治体の補助を使える時期に導入できる
向かない人
- 集合住宅に住んでいる(V2Hの個人設置は事実上困難。充電は管理組合による共用部の充電設備が現実的)
- 職場や商業施設など外での充電が中心で、自宅充電をほぼ使わない
- EVが通勤で毎日昼間不在(太陽光をEVに貯める運用ができない)
- 初期費用の回収を最優先したい(まず5万円のコンセント補助で普通充電から始める方が合理的)
特定のメーカー・機種の優劣はここでは扱いません。補助対象になるのはセンターが承認した型式に限られるため、機種選びは必ず公表されている補助対象型式一覧から出発してください。
申請の流れと注意点:「交付決定前の着工」が最大の落とし穴
国の充電インフラ補助金(戸建てコンセント・V2H共通)の基本の流れです。
- 見積りを取り、資金を確保する:補助対象型式か一覧で確認し、機器と工事の見積書(内訳書つき)を用意
- オンラインで交付申請:次世代自動車振興センターの申請システムから。本人確認書類・見積書・施工前写真などを提出
- 交付決定を待つ:不備のない受付からおおむね1〜2か月。この間に発注・着工してはいけません
- 交付決定後に発注・着工・支払い:支払いは原則振込(クレジットカード一括は可、ローン・割賦は不可)
- 実績報告→補助金の振込:完了から30日以内目途に報告(戸建てコンセントの期限は2027年1月29日)。その後5年間の保有義務
つまずきやすいポイント
- 先に工事したら対象外:交付決定日より前の発注・施工開始は補助対象になりません(国)。逆に東京都は「契約前の事前申込」が先。国と都で順序のルールが違うため、併用時は両方のスケジュールを重ねて計画すること
- 先着順・予算枯渇:V2Hは8月4日時点で予算残約25億円。市区町村は予算規模が小さく、名古屋市の蓄電システム枠のように年度途中で終了する例が普通にあります
- 5年の保有義務:期間内に処分・売却するには事前承認が必要で、補助金の返還を求められることがあります。EV本体の補助金にも同様の返還ルールがあります(EV補助金の返還4年ルール)
- 税金の扱い:個人が受け取る補助金は原則「一時所得」です。ほかの一時所得と合算して年間50万円の特別控除を超えると課税対象になり得ます。国+都+市と重ねて高額になる年は確定申告の要否を確認してください
今日やること
今日やること
- 次世代自動車振興センターの「補助対象型式一覧」で、検討中のコンセント・V2Hが対象か確認する(発注はまだしない)
- V2Hを入れるなら、センターのホームページで最新の予算残高を確認し、9月30日から逆算して見積り取得の予定を今週中に入れる
- お住まいの自治体名+「V2H 補助」「充電設備 補助」で上乗せ制度を検索し、国との併用可否と受付状況をメモする
よくある質問
Q. 賃貸や分譲マンション住まいでも補助金を使えますか?
A. 定額5万円のコンセント補助は戸建て住宅が対象です。集合住宅には管理組合等が申請する別区分(機器上限25万〜35万円+工事費上限95万〜135万円)があり、居住者個人が単独で申請する制度ではありません。まず管理組合・オーナーに国の補助金の活用を相談するのが現実的です。
Q. すでに充電器の工事を発注してしまいました。今から申請できますか?
A. 国の補助金は交付決定日以降の発注・施工開始が要件のため、交付決定前に発注・着工した工事は対象外です。まだ着工していない別の工事(例:これから入れるV2H)は、交付申請から順序どおり進めれば対象にできます。
Q. 国のV2H補助はいつまで申請できますか?
A. 受付期限は2026年9月30日17時ですが先着順で、8月4日時点の予算残高は約25億円と公表されています。予算に達した時点で期限前でも受付終了となり、到達日以降に届いた申請は無効になるため、早めの申請が確実です。
Q. 国と東京都・市の補助金は併用できますか?
A. 国の補助金どうしの重複は不可ですが、国と自治体の併用は認められている場合が多いです。東京都のV2H補助は国との併用が可能で、都の助成額は国の補助額を差し引いて算定します。市区町村は「国の補助対象機器であること」を条件にする例(さいたま市など)があるため、各自治体の要件を確認してください。
参考リンク(出典)
※ 本記事の金額・受付状況は2026年8月時点の公表情報にもとづきます。補助金は予算到達により予告なく受付終了となるほか、機器価格・工事費・電気代は目安の概算です。個別の申請可否・課税の判断は、各執行団体・自治体・税務署・専門家にご確認ください。



