結婚・子育て資金の一括贈与が廃止へ|2027年3月まで・代わりの手段

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カテゴリ:制度・ニュース

最終更新:2026年8月24日。本記事は2026年8月24日付の日本経済新聞の報道と、国税庁・こども家庭庁・信託協会の公表資料に基づきます。廃止は現時点でこども家庭庁の方針が報じられた段階で、正式には年末の与党税制改正大綱で確定します。数値はすべて出典つきで記載しています。

2027年3月31日現行の適用期限=このまま終了へ
1,000万円非課税枠(結婚費用は300万円まで)
7,907件契約数の累計(創設10年・令和6年9月末)
約34分の1教育資金版(約27万件)との利用差

何が報じられたのか——所管庁みずから「延長を求めない」

2026年8月24日、日本経済新聞は、こども家庭庁が結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置を2026年度限りで廃止する方針だと報じました。黄川田仁志こども政策相が明らかにしたもので、理由は「効果が限定的」。政府が進める予算・租税特別措置の見直し(いわゆる日本版DOGE)の一環と位置づけられています。

この制度の適用期限はもともと2027年(令和9年)3月31日です。「2026年度限りで廃止」とは、期限どおりに終了させ、2027年度税制改正で延長を要望しないという意味になります。

「減税の延長要望を出さない」は、事実上の廃止決定にかなり近い動きです。通常の税制改正は「省庁が8月末に要望→年末の与党税制改正大綱で採否」という流れで、要望が通らないことは珍しくありません。しかし所管庁が延長を求めない場合、期限つきの措置はそのまま失効するのが通例です(正式な確定は年末の大綱)。この流れの読み方は令和9年度税制改正要望の読み方で解説しています。

制度のおさらい——1,000万円まで非課税、ただし条件と「後始末」つき

結婚・子育て資金の一括贈与は、2015年(平成27年)4月に始まった制度です。親や祖父母(直系尊属)が、信託銀行などの専用口座を通じて子・孫に資金をまとめて渡すと、受贈者1人あたり1,000万円まで贈与税が非課税になります。

項目内容
贈与する人父母・祖父母など直系尊属
受け取る人18歳以上50歳未満の子・孫(前年の合計所得1,000万円以下)
非課税枠受贈者1人あたり1,000万円(結婚関係の費用は300万円まで
対象になる費用挙式・披露宴、新居の家賃・敷金や引越費用(期間・上限あり)、不妊治療・妊婦健診・出産、産後ケア、子どもの医療費、幼稚園・保育園の保育料など
手続き信託銀行など金融機関に専用口座を開設し、領収書を提出して払い出す
期限2027年3月31日までの拠出分が対象(令和7年度改正で2年延長された分)

見落とされがちなのが「後始末」の課税です。

  • 50歳になった時点の残額には贈与税がかかります(2023年4月以後の拠出分は税率の高い一般税率)。
  • 贈与した人が亡くなると、使い残し(管理残額)は相続財産に加算されて相続税の対象になります。孫が受け取っていた場合、2021年4月以後の拠出分は相続税の2割加算の対象にもなります。

つまり「渡し切って相続税を減らす」効果は、教育資金版に比べても小さく設計されています。

なぜ「効果が限定的」なのか——数字と仕組みの両面から

大臣の「効果が限定的」という説明は、データで裏づけられます。

  • 利用が極端に少ない。信託協会の統計では、結婚・子育て支援信託の契約数は創設から約10年で累計7,907件(令和6年9月末)。同じ一括贈与でも教育資金版は累計約27万件で、約34倍の差があります。1年あたりに直すと全国で800件程度しか使われていません。
  • そもそも、その都度の援助なら最初から非課税。親や祖父母(扶養義務者)が、結婚式の費用や出産費用、保育料などを必要になったつど直接払うのは、通常必要と認められる範囲なら贈与税の対象になりません(国税庁タックスアンサー No.4405)。「一括で前渡しする」ことにしか意味がない制度なので、出番が限られます。
  • 相続税対策としても中途半端。前述のとおり、使い残しは相続財産に加算され、孫は2割加算まであります。相続直前の駆け込み贈与の抜け道にならないよう設計された結果、節税メリットが薄くなりました。
  • 手間がかかる。専用口座の開設、費目ごとの領収書提出、結婚費用は300万円までという内枠管理など、事務負担のわりに得られるものが少ないのが実情です。

教育資金版(1,500万円)が約27万件も使われたのは、「入学金や授業料をまとめて祖父母が出す」需要が現実に大きかったからです。結婚・子育て版は需要の中心が「都度払いで足りるお金」だったため、10年間、利用が伸びませんでした。廃止は利用実態から見れば自然な流れといえます。

「一括贈与の非課税」は店じまいの流れ——3制度の現在地

制度非課税枠状況
教育資金の一括贈与1,500万円2026年3月31日で終了済み(延長要望が通らず)
結婚・子育て資金の一括贈与1,000万円2027年3月31日で終了へ(今回の廃止方針)
住宅取得等資金の贈与省エネ等住宅1,000万円・その他500万円適用期限は2026年12月31日(現時点で存続中)

教育資金版の終了の経緯は教育資金の一括贈与はいつまで?で詳しく解説しています。背景には、暦年贈与の持ち戻し期間の7年への延長や相続時精算課税の年110万円基礎控除の新設(いずれも2024年〜)など、「贈与と相続をまとめて課税し直す」方向の税制再編があります。期限つきの一括贈与特例は、順に店じまいが進んでいると見るのが自然です。

廃止で困る人・困らない人——そして代わりの手段

ほとんどの家庭は困りません。結婚式の費用や出産費用、保育料を親がその都度負担するのは、これまでどおり贈与税の対象外だからです。影響があるのは、次のようなケースに限られます。

  • 高齢の祖父母が、元気なうちにまとめて孫の結婚・子育て資金を確保しておきたい(都度払いは自分の健康状態に左右されるため)
  • 相続人ではない孫へ、記録が残る形で計画的に資金を移したい

こうした目的がある場合の選択肢を整理します。

  1. 都度贈与(原則これで足りる):結婚・出産・保育の費用を必要なタイミングで直接払う。金額の上限はなく、通常必要な範囲なら非課税です。
  2. 暦年贈与110万円:年110万円までの基礎控除内で毎年渡す。相続開始前7年分は相続財産に持ち戻されますが、相続や遺贈で財産を受け取らない孫への贈与は原則として持ち戻しの対象外で、相性がよい方法です。詳しくは贈与税の非課税枠110万円の使い方へ。
  3. 相続時精算課税:2024年からは年110万円の基礎控除が新設され、110万円以下なら申告も持ち戻しも不要になりました。まとまった額を早めに移したい場合の選択肢です。
  4. 駆け込みで本制度を使う:2027年3月31日までは信託銀行等で契約できます。ただし上で見たとおり、50歳時の残額課税・死亡時の管理残額加算・領収書管理の手間があるため、「非課税だからお得」と飛びつく制度ではありません。使うなら残額が出ない金額設計にし、税理士に相談を。

なお、住宅資金の援助を検討している場合は、住宅取得等資金の贈与非課税(2026年12月31日期限)が別枠で残っています。住宅ローン控除ガイドとあわせて確認してください。

今日やること

  1. 結婚・出産・保育の援助を予定している家庭は、「都度払いで足りるか」をまず確認する(足りるなら廃止の影響はありません)
  2. すでに専用口座を契約している人は、使い残しがいくらあるかを確認し、対象費目での計画的な払い出しを検討する
  3. まとまった生前贈与を考えている祖父母世代は、暦年贈与・相続時精算課税との比較を税理士に相談する

よくある質問

廃止はもう正式に決まったのですか?

正式決定は年末の与党税制改正大綱です。ただし今回は、所管するこども家庭庁みずからが延長を要望しない方針と報じられており、期限つきの措置は要望がなければそのまま失効するのが通例のため、2027年3月31日での終了が濃厚です。

いつまで新規に使えますか?

現行の適用期限である2027年3月31日までに、信託銀行などで契約し資金を拠出した分が非課税の対象です。期限後は新規の非課税拠出はできなくなる見込みです。

すでに契約している口座はどうなりますか?

期限までに拠出した資金は、制度の仕組みどおり受贈者が50歳になるまで領収書を提出しながら非課税で払い出せる見込みです。ただし50歳時点の残額には贈与税が、贈与した人が亡くなった時点の使い残しには相続税がかかる点は従来どおりです。

廃止後、親に結婚式の費用を出してもらうと贈与税がかかりますか?

通常はかかりません。親や祖父母などの扶養義務者が、結婚式や出産、子育ての費用を必要になったつど直接負担することは、通常必要と認められる範囲であれば贈与税の対象外です。廃止されるのは「一括で前渡しする場合の特例」であって、都度の援助への課税が始まるわけではありません。

参考リンク(出典)

本記事は一般的な情報提供であり、特定の手続き・節税を勧めるものではありません。廃止は報道された方針の段階であり、年末の与党税制改正大綱までは変更の可能性があります。個別の税務判断は税務署または税理士など専門家にご確認ください。

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「はい」が多い記事から、優先的に内容を更新・深掘りしていきます。

公開日:2026年08月24日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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本記事は税制・各種制度に関する一般的な情報提供を目的としたもので、税務上の助言ではありません。記載内容は公開時点の情報に基づき正確性に努めていますが、制度は改正される場合があります。実際のお手続き・個別のご判断は、国税庁・お住まいの税務署・税理士等の専門家にご確認ください。運営者情報・免責事項