新車のEVには、国のCEV補助金で最大130万円、東京都ならさらに最大130万円——合計最大260万円の補助が付きます。では中古EVを買ったら? 答えは「ほぼゼロ」です。国のCEV補助金は新車のみが対象で、中古車は対象外。自治体の補助金も、要綱を確認すると大半が「新車に限る」と明記しています。一方で、取得時・保有中の税金の優遇と、V2H・充電設備の補助は中古EVでも効きます。値落ちの速さで「割安」と話題の中古EVについて、補助金が出ない理由、例外的に中古を対象にする自治体の実例、前オーナーの補助金(処分制限期間)との関係、中古でも使える優遇まで、次世代自動車振興センター・東京都などの一次情報で整理します。
国のCEV補助金は「新車のみ」——中古EVは対象外
EV購入補助の柱である国のCEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金・窓口は次世代自動車振興センター)は、新車として新規登録(軽は新規検査届出)された自家用車両だけが対象です。応募要領上、いったん誰かの名義で登録された車を中古車として買っても、補助金は受けられません。
| 制度 | 新車 | 中古車 |
|---|---|---|
| 国のCEV補助金(EVで最大130万円) | 対象 | 対象外 |
| 東京都のZEV車両購入補助金(EVで最大130万円) | 対象 | 対象外(島しょ地域の別事業を除く・後述) |
| 道府県・市区町村の車両補助 | 対象(制度がある自治体) | ほぼ対象外(「新車に限る」条項が一般的) |
- 「登録済未使用車(新古車)」も、すでに初度登録が済んでいる時点で新車扱いにならず対象外です
- ディーラーの認定中古車・メーカー再生車でも扱いは同じです。「認定だから補助が出る」ことはありません
- 新車の各都道府県の上乗せ額は47都道府県のEV補助金まとめで確認できます
なぜ中古は対象外なのか
補助金の目的が「EVという車を増やすこと」だからです。新車1台への補助は道路を走るEVを1台増やしますが、中古車の売買は所有者が入れ替わるだけで台数は増えません。すでに新車時に補助金が入った車に二重に出すことになる、という事情もあります。中古車が対象外なのは制度設計上の一貫した扱いで、「申請の仕方次第でもらえる」ものではありません。
中古EVでも使える自治体補助はあるか——例外は「島」だった
「自治体によっては中古EVにも補助金がある」と紹介されることがありますが、2026年8月時点で確認できる個人向けの中古EV車両補助はごく少数の例外です。実例を挙げます。
中古ZEVが対象になる例:東京都の島しょ地域
- ZEV活用による島しょ地域防災力向上事業(東京都・窓口はクール・ネット東京):災害時にEVを動く蓄電池(エネルギーインフラ)として使う協定を都と結んだ島しょ地域の町村で、住民や事業者が中古のEV・PHEV・FCVを購入すると、車両本体価格の一部・上限30万円を助成。令和8年度は2026年4月30日から2027年3月31日まで受付です
- 対象は「申請者以外の人が初度登録した中古車」で、登録から申請まで1年以内などの条件があります。対象町村・詳細は公式ページで要確認です
中古FCVだけ対象になる例:北海道鹿追町
- 水素の町として知られる北海道鹿追町は、令和8年度の脱炭素自動車導入補助で中古の燃料電池自動車(FCV)に本体価格の20%・上限50万円を補助しています。ただしEVの中古車は対象外(EV・PHEVは新車のみ)です
「中古車は対象外」と明記する自治体(一例)
- 姫路市:令和8年度の個人向け次世代自動車導入促進補助金で「新古車、中古車及び中古の輸入車の初度登録車は対象外」と明記
- さいたま市:令和8年度の電気自動車等普及促進対策補助金は、初度登録が令和8年4月1日以降の新車が対象で中古は対象外
- 長野県軽井沢町:最大30万円の補助があるものの「中古車は補助の対象になりません」と明記
つまり実務上の結論はこうです。お住まいの自治体の交付要綱で「補助対象車両」の欄を確認し、「新車に限る」「初度登録された車両」の文言があれば中古は使えない。逆に、島しょ部のように防災目的で中古を認める制度はピンポイントで存在するため、「うちの自治体はどうか」を要綱で確かめる価値はあります。東京都の制度全体は東京都EV補助金ガイドに、47都道府県の一覧は都道府県別まとめにまとめています。
中古EVを買うときの注意——前オーナーの補助金はどうなる?
国のCEV補助金には登録日から原則4年(車種により3年)の保有義務(処分制限期間)があり、期間内に売却する前オーナーは、承認を受けて残存期間分の補助金を返納するルールになっています。中古で買う側との関係を整理します。
- 返納義務は補助金を受けた本人(売り主)のものです。処分制限期間中の車を中古で買っても、返還義務が買い主に引き継がれることはありません。名義変更も通常どおりできます
- 売り主が無断で処分した場合にペナルティを受けるのも売り主側で、買い主が補助金の返納を求められることはありません。安心して購入して構いません
- ただし価格には注意。中古EVの相場には「前オーナーが新車時に補助金を受けている」ことが織り込まれがちです。割安に見える理由の一つが補助金なので、「新車価格−補助金(実質負担額)」と中古価格を比べて損得を判断してください
- 市場に登録3〜4年前後の中古EVが多いのは、処分制限期間の満了を待って手放す人が多いためです。裏を返せば、初回車検前後の車両は電池もまだ新しいということでもあります
- 補助金とは別の観点として、駆動用電池の劣化度(残存率)と電池保証の引き継ぎは必ず確認を。メーカー保証(例:8年16万キロなど)は中古でも引き継がれるのが一般的ですが、条件は車種ごとに異なります
税金の優遇は中古EVでも効く——効かないのは1つだけ
補助金と違い、自動車の税の優遇は「車の性能」に付くため、中古でも大部分が使えます。2026年8月時点の扱いを購入から保有まで順に並べます。
| 税金 | 中古EVでの扱い |
|---|---|
| 取得時:環境性能割 | かからない。もともとEVは非課税のうえ、環境性能割自体が2026年3月末で廃止。中古車の取得時にかかる税金は消費税のみ |
| 車検時:自動車重量税(エコカー減税) | 免税が使える場合あり。EVは新車新規登録時と初回継続検査時(登録から3年目の車検)が免税。初回車検前の中古EVなら、次の車検の重量税も0円。それ以降は本則税額(割増のない安い税率)。エコカー減税は2028年4月30日まで延長済み |
| 毎年:自動車税(種別割) | 登録車のEVは排気量区分の最低額年25,000円。中古でも同じ |
| 翌年度75%軽減(グリーン化特例) | 使えない。新車新規登録の翌年度分だけの軽減(25,000円→6,500円)なので、中古で買った人には適用されない(唯一の「新車限定」の税優遇) |
| 13年超の重課 | EVは重課の対象外。ガソリン車は初度登録から13年を超えると自動車税が概ね15%割増になるが、EVは古くなっても上がらない。年式の古い中古EVでも安心 |
まとめると、中古EVで使えないのはグリーン化特例(翌年度の75%軽減)だけ。取得時は無税、重量税もタイミング次第で免税、古くなっても重課なし——と、税の面では中古EVは引き続き優遇されています。なお、排気量のないEVの自動車税は将来的に課税方法の見直し(重量ベースへの移行など)が議論されており、最新の動向はEVの税金と2026年の自動車税制で解説しています。
V2H・充電設備の補助金は「中古EVオーナー」も使える
車両本体の補助が使えなくても、設備側の補助金は車が新車か中古かを問いません。中古EVの購入と同時に検討する価値があります。
- 国:充電・充てん設備等導入促進補助金(令和7年度補正)——V2H充放電設備や充電設備の導入費を補助する枠があります。予算到達で受付が締め切られるため、受付状況は公式サイトで確認してください
- 東京都:戸建住宅におけるV2H普及促進事業——太陽光発電とEV・PHEVの両方があれば設置費の全額(上限100万円)という手厚さです。要件は「EVを保有していること」で、その車が中古かどうかは要件になっていません
- V2Hがあれば中古EVは「動く蓄電池」になり、停電時の電源・太陽光の自家消費にも使えます。太陽光・蓄電池とあわせた東京都の補助の全体像は東京都の太陽光・蓄電池・V2H補助金ガイドへ
- 注意点として、V2H対応の可否は車種で異なります(急速充電規格に対応した車が前提)。契約前に対応車種一覧を確認してください
結局、中古EVは「あり」か——判断のものさし
- 新車+補助金の実質価格と比べる:新車が国+自治体の補助で大きく下がる地域(東京都なら最大260万円)では、中古との差が思ったより縮まります。「中古が安い」は補助金を引いた新車の実質価格と比べてから
- 補助金に頼らない分、値落ちの恩恵は大きい:EVは新車からの値落ちが速い車種が多く、3〜4年落ちを狙えば補助金なしでも新車実質価格を下回ることは珍しくありません
- 向かない人もいます:集合住宅で自宅充電が確保できない人、長距離移動が多く充電計画を立てにくい人、電池残存率を確認できない個体は、中古EVの弱点がそのまま出ます。無理にEVにせず、ハイブリッド車等との比較もおすすめします
今日やること
今日やること
- お住まいの都道府県・市区町村のEV補助金の交付要綱を開き、「補助対象車両」の欄に「新車に限る」「初度登録された車両」の文言があるかを確認する(47都道府県まとめから辿れます)
- 候補の中古EVの車検証の初度登録年月を確認し、「初回車検前か(重量税免税が残っているか)」「電池保証の残り期間」をメモする
- 戸建てで太陽光がある(または検討中の)人は、V2H補助金の受付状況を国と自治体の両方で確認する
よくある質問
Q. 中古のEVでも国のCEV補助金はもらえますか?
A. もらえません。CEV補助金は新車として新規登録された車両のみが対象で、中古車・登録済未使用車(新古車)・認定中古車はいずれも対象外です。自治体の補助金も大半が新車限定のため、購入前に自治体の交付要綱で対象車両の条件を確認してください。
Q. 中古EVに補助金を出している自治体は本当にあるのですか?
A. ごく少数ですが存在します。東京都の「ZEV活用による島しょ地域防災力向上事業」は、対象の島しょ町村の住民等が中古のEV・PHEV・FCVを購入すると上限30万円を助成します(令和8年度受付中)。また北海道鹿追町は中古の燃料電池自動車(FCV)に上限50万円を補助しています(EVの中古は対象外)。一般の市区町村では中古対象の車両補助はほぼありません。
Q. 前の持ち主が補助金をもらった車を買うと、返還義務も引き継ぎますか?
A. 引き継ぎません。CEV補助金の保有義務(処分制限期間・原則4年)と返納義務は補助金を受けた本人のもので、中古の買い主には及びません。売り主側が処分前の承認申請と返納を行う仕組みで、買い主は通常どおり名義変更して乗れます。
Q. 中古EVでも税金は安くなりますか?
A. 大部分は安くなります。取得時の環境性能割は2026年3月末で廃止済み(EVはもともと非課税)、自動車重量税はエコカー減税により初回継続検査まで免税、13年超の重課もEVは対象外です。唯一、翌年度の自動車税を75%軽減するグリーン化特例だけは新車新規登録が条件のため、中古購入では使えません。
参考リンク(出典)
※ 補助額・受付状況・税制は2026年8月時点の公表情報にもとづきます。補助金は予算到達で受付終了となるため、申請前に必ず各公式サイトで最新の受付状況・交付要綱をご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は各制度の窓口・税理士等の専門家にご相談ください。



