退職後の健康保険シミュレーター|任意継続と国民健康保険はどちらが安いか
会社を辞めたあとの健康保険は、任意継続と国民健康保険(国保)のどちらを選ぶかで、年間の負担が数万円から数十万円変わります。しかも1年目と2年目で有利・不利が逆転するのが普通です。退職時の月給・前年の年収・お住まいの自治体を入れて、2年分をまとめて比べてください。
入力値はこの端末の中だけで計算され、どこにも送信されません。金額は概算です。
結果の読み方:1年目と2年目で答えが変わる
この2つは、保険料の決まり方がまったく違います。ここを押さえると結果が腑に落ちます。
| 任意継続 | 国民健康保険 | |
|---|---|---|
| 保険料の基礎 | 退職時の標準報酬月額(上限あり) | 前年の所得 |
| 2年目 | ほぼ同額のまま | 前年の所得が下がるので大きく下がる |
| 会社の負担 | なし(全額自己負担) | なし |
| 家族の分 | 扶養に入れれば追加負担なし | 1人ずつ均等割がかかる |
| 会社都合の退職 | 影響なし | 所得割が大幅に軽くなる |
つまり扶養家族が多い人ほど任意継続が有利で、2年目は国保が有利になりやすいという、方向の違う2つの力が働きます。だから「1年目は任意継続、2年目は国保」という組み合わせが最安になるケースが少なくありません。
2022年1月から、任意継続は途中でやめられます。以前は2年間の途中で抜けることが原則できませんでしたが、健康保険法の改正で本人の申し出による資格喪失が認められました。1年目だけ任意継続を使い、2年目から国保に移るという選択が、制度上はっきり可能になっています。
任意継続の保険料はこう決まる
任意継続の保険料(協会けんぽ・令和8年度)
標準報酬月額 ×(都道府県の料率 + 子ども・子育て支援金率0.23% + 介護保険料率1.62%※)
※介護保険料率は40〜64歳のみ加算。標準報酬月額は「退職時の額」と「協会けんぽの平均額」の低いほうで、令和8年度の上限は32万円です。
在職中は会社と折半でしたが、任意継続では全額が自分の負担になります。ざっくり言えば、給与明細で引かれていた健康保険料の2倍が目安です。
ただし上限があるおかげで、高収入だった人ほど頭打ちの効果が効きます。令和8年度の上限32万円は、令和7年9月30日時点の全被保険者の平均標準報酬月額318,100円が23級(32万円)に当たることから決まったもので、令和7年度から据え置きです。
手続きは20日以内
任意継続の申請期限は資格喪失日から20日以内です。この期限を過ぎると原則として選べなくなり、自動的に国保だけが選択肢になります。退職前に試算しておく価値があるのはこのためです。
国民健康保険はこう決まる
国保は前年の所得をもとに、自治体ごとに決められた料率で計算します。同じ年収・同じ家族構成でも、住む場所が変わると年に10万円以上違うことがあります。
国民健康保険料(税)の基本形
所得割(前年の総所得金額等 − 基礎控除43万円)× 料率 + 均等割 × 人数 + 平等割
医療分・後期高齢者支援金分・介護分(40〜64歳)・子ども子育て支援金分の区分ごとに計算し、それぞれ上限(賦課限度額)があります。
会社都合の退職なら、所得割が大きく下がる
倒産・解雇・雇止めなどで離職した人(雇用保険の特定受給資格者・特定理由離職者で65歳未満)は、前年の給与所得を100分の30として保険料を計算します。所得割はおおむね3割になり、軽減判定にも使われるため均等割の軽減が効くこともあります。
対象になるのは、離職日の翌日が属する月からその翌年度末まで。つまり最長で約2年間です。自己都合退職では使えません。上のシミュレーターで「会社都合」を選ぶと、この軽減を反映した金額になります。
この軽減は申請しないと適用されません。雇用保険受給資格者証(またはマイナポータルの離職票情報)を持って市区町村の窓口で届け出てください。
家族の扶養に入れるなら、それが最安
忘れられがちですが、3つ目の選択肢があります。配偶者や子の勤務先の健康保険の被扶養者になれる場合、保険料の自己負担はゼロです。
条件は原則として年間収入130万円未満(60歳以上や障害者は180万円未満)で、被保険者の収入の2分の1未満であること。注意したいのは、失業給付(基本手当)も収入に含まれる点です。日額3,612円以上を受け取っている間は扶養に入れないのが一般的で、受給が終わってから扶養に入るという順番になります。
詳しくは退職後の健康保険3択の比較で解説しています。
今日やること
- 直近の給与明細で「標準報酬月額」と「健康保険料」を確認する。任意継続はおおむねその2倍が目安です。
- 上のシミュレーターに退職時の月給と前年の年収を入れて、2年分の合計を比べる。
- 会社都合での退職なら、離職票の離職理由コードを確認する。軽減の対象かどうかがここで決まります。
- 家族の健康保険に入れる可能性があれば、勤務先に扶養の条件を先に確認する。ゼロ円が一番強い選択肢です。
- 退職日が決まったら20日以内の任意継続の申請期限をカレンダーに入れる。
よくある質問
任意継続と国保、結局どちらが安いのですか。
一概には言えません。扶養家族が多い人は任意継続が有利になりやすく、単身で前年の所得が下がる2年目は国保が有利になりやすい傾向です。会社都合の退職なら国保の所得割が3割相当まで下がるため、1年目から国保が安くなることもあります。上のシミュレーターで両方を並べて比べてください。
任意継続の保険料は2年目に下がりますか。
原則として下がりません。退職時の標準報酬月額(上限32万円)で固定されるためです。ただし都道府県の料率が改定されれば、その分だけ変わります。所得が下がっても保険料は下がらないという点が国保との最大の違いです。
1年目は任意継続、2年目から国保に移れますか。
移れます。2022年1月の改正で、本人の申し出による資格喪失が認められました。申し出が受理された日の属する月の末日で資格を失い、その翌日から国保に加入する流れになります。保険料の納め忘れによる資格喪失を待つ必要はありません。
任意継続の申請期限を過ぎてしまいました。
原則として任意継続は選べなくなり、国保か家族の扶養のどちらかになります。期限は資格喪失日から20日以内で、これは厳格に運用されています。退職日が決まった時点で手続きの準備を始めてください。
失業給付をもらいながら家族の扶養に入れますか。
基本手当の日額が3,612円以上の場合は、年収130万円を超える見込みとして扶養に入れないのが一般的です。受給が終わってから扶養に入る、あるいは受給待期中だけ扶養に入るといった運用になります。健康保険組合によって扱いが異なるため、必ず加入先に確認してください。
参考リンク
- 全国健康保険協会「令和8年度の都道府県単位保険料率」
- 全国健康保険協会「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」
- 全国健康保険協会「退職後の健康保険(任意継続)」
- 厚生労働省「医療保険」(非自発的失業者の軽減措置)
- 国税庁 No.1410「給与所得控除」
本記事は一般的な情報提供です。実際の保険料は加入先の健康保険組合・市区町村にご確認ください。国保の料率は自治体ごとに毎年改定されます。